部下に指示がうまく伝わらずイライラしていませんか?
- 1回の指示で期待通り結果を得られず後戻りが発生する
- 何度も何度も指示することになり手離れが悪い
- 期限が間近になり、結局、最後は自分でやることになってしまう
- 本来のやるべき仕事に集中できない
このような事態に陥っているマネジャー層の人は要注意です。
上司と部下の関係でコミュニケーションギャップが発生しています。
本記事では何故このようなコミュニケーションギャップが発生するのかを
抽象化と具体化の概念から解説します。
本記事が業務が効率的に進み職場の生産性向上の一助になれば幸いです。
具体的な指示と抽象的な指示
ここでは指示を大きく「具体的指示」と「抽象的指示」の2つにわけて解説します。
具体的な指示 | 抽象的な指示 |
例えば
「今度の社員旅行は別府温泉でバスツアーの夜は宴会付きで予算は一人当たり3万円で企画してください」 |
例えば
「今度の社員旅行は予算3万円で何か楽しそうなことを企画してください」 |
長所(指示する側にとって)
長所(指示される側にとって)
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長所(指示する側にとって)
長所(指示される側にとって)
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短所(指示する側にとって)
短所(指示される側にとって)
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短所(指示する側にとって)
短所(指示される側にとって)
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具体的な指示と抽象的な指示の違いとして最も重要なのが
「自由度の違い」です。
抽象的な指示は良くも悪くも自由度が高く
具体的な指示は自由度が低いということになります。
具体的な指示は自由度が低く、アウトプットの振れ幅が小さくなり
抽象的な指示は自由度が高いぶん、アウトプットの振れ幅が大きくなるのが特徴です。
図で表すと以下のイメージとなります。
[ 図1 指示内容に応じたアウトプットの振れ幅 ]
抽象的、具体的な指示に対する部下の特性の関係性
上記のように指示内容に具体的、抽象的なものがあるのと同じく
指示される側にも
「具体的な指示を期待するタイプ」
と
「抽象的な指示を期待するタイプ」
の2通りのタイプが存在します。
各々の組み合わせをマッピングしたものが
⇩の図になります。
[ 図2 依頼側の指示内容と被依頼側の期待 ]
このように各パターンにおける指示する側(上司)と指示を受ける側(部下)の関係を「部下目線」で表したのが⇩図になります。
[ 図3 部下目線の上司像 ]
☑ 図の左下と右上の白の領域
- 指示内容と指示される側の期待値が一致しておりコミュニケーションギャップは発生しません。
☑ 左上と右下のグレーの領域
- 指示内容と指示される側の期待値に乖離がありコミュニケーションギャップが生じやすいと考えられます。
コミュニケーションギャップの解消方法
図3で示した各々のパターンにおける対策について解説していきます。
☑ 左下(パターン1)
具体的な指示を期待する部下に上司が具体的な指示を出すパターンです。
これは新入社員など経験値が浅い部下に対して取るべき指示になります。
経験を積むにしたがい具体的な指示を徐々に抽象的な指示に変えていき部下を育成していきましょう。
社歴は長いけど、このように具体的な指示を待つ「指示待ちタイプ」には
高いアウトプットを期待するのは諦めて、定型的な作業を任せることに徹しましょう。
但し、なかには特定分野の専門性がずば抜けて高いけど指示がないと動けない「尖がったタイプ」もいますので
そのような部下に対しては、「一問一答」で済むような課題解決型の仕事を任せると高い能力を発揮するでしょう。
例えば、
「この製造装置の処理時間を今の半分になるようにプログラムのアルゴリズムを変更して下さい」
など。
☑ 右上(パターン4)
抽象的な指示を期待する部下に上司が抽象的な指示をするというパターンです。
ハイポテンシャル人材に対して取るべき理想的な指示になります。
指示する仕事の背景と目的を説明すれば、あとは生き生きと仕事をこなしくれることでしょう。
例えば
「来期は赤字見通しなので黒字化にすべく、あらゆる面から施策を検討してください」
など。
☑ 左上(パターン2)
具体的な指示を待っている部下に上司が抽象的な指示をするパターンです。
新入社員や他部門からの転入者に対して、「好きにしていいよ」といった指示をだす状況です。
上司からすれば、部下の裁量に任せようと良かれと思い、
このような自由度を上げた指示をだすのですが
部下からすれば、単に「丸投げされた」としか思わないわけです。
アウトプットの結果は期待値に対し大きくマイナスにでることは言うまでもありませんね。
新人には、具体的な指示をだすことが大原則です。
社歴は長いけど、このように具体的な指示を待つ「指示待ちタイプ」にも
無理に変えようとしなくても良いです。
お互いストレスが溜まるだけですので
具体的な指示をだしましょう。
☑ 右下(パターン3)
最後に、抽象的な指示を期待している部下に、上司が具体的な指示をだすパターンです。
能力のある部下は自由にやりたいんです。
期待値に対して大きくプラスとなるようなアウトプットを求めるのであれば
抽象度の高い指示をだしましょう。
期待値に対して大きくプラスのアウトプットを求めない場合でも
このパターン3が続くと優秀な部下は離職していくことになりますので注意してください。
まとめ
部下に仕事を指示するとき
- 具体的に指示すれば、だいたい期待値通りの結果を持ってくる
- 抽象的な指示だと期待値に対する結果のブレ幅が大きい
という原理原則を念頭において
上司は部下の特性(具体的指示待ちか、抽象的指示で任せられるか)を見極めて指示すればコミュニケーションギャップが減り良い結果につながるという事が理解頂けたと思います。
あなたも自分自身と周りの人との関係を思い浮かべて下さい。
上司でも部下で構いません。
改めて、その人達との仕事が
「うまくいった」
または
「うまくいかなかった」
この原因が、このような構図だったということに気づくと思います。
いまの振り返りを踏まえて、これからの関係性に活かして頂ければと思います。
今回、上司の立場での指示の出し方について解決策を説明しましたが
自分が部下の立場であれば、上司の方に自分のタイプが
「指示を待つタイプ」
なのか
「自由に任せて欲しいタイプ」
なのかを伝え
無用なコミュニケーションギャップによる生産性悪化の回避に努めましょう。
本記事は以下の書籍を参考にしておりますので
さらに詳細を学びたい方は是非書籍をご覧ください。
最後まで読んで頂きありがとう御座いました。
以 上
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