昨今、日本でも長期雇用傾向は変わり、職を変えることが当たり前な時代になったと言われています。
ただ転職というのは心労的、体力的にも苦労するもので、勇気を持って一歩踏み出し、転職したはいいが、「給料が減った」、「なんだか社風が合わない」、「仕事内容が思ってたのと違う」等々で思い描いた通りのシナリオに進めなかったなんてことも多いのが実情です。
そこで転職が失敗する理由と転職を成功させる方法についてシリーズで解説します。
この記事では転職を考えているけど
・転職先でやっていけるか不安
・収入が下がらないだろうか?
・そもそも転職すべきなのかな?
という不安を抱え決断を迷っている人のために
失敗しない転職のために知っておくべき事を2021年4月新版 立教大学経営学部教授 中原淳氏の著書「経営学」 をベースに国家資格キャリアコンサルタント有資格者ロイが自身の経験を踏まえ丁寧に解説します。
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「転職学」では日本人の転職した理由のデータが示されています。
30.9%が「前職への不満のみ」で48.9%が「前職への不満あり転職先への魅力あり」と不満ベースの転職が全体の79.8%を占めています。
不満ベースの転職は、「取り合えず今の職場を辞めて条件のあった仕事に就きたい」と「マッチング思考」に陥りやすいのが特徴です。
そうやって不満ベースで転職した人は「成長のために新しいことにチャレンジしたい」というような前向きな動機に比べ、転職後の早期離職などが多いのが実態です。
今回、転職を失敗させない為には「転職動機を後ろ向き(不満ベース)から前向きに変える方法」について解説します。
ここで結論をお伝えします。
・自分自身の過去を棚卸する
・「自分が思っている私」と「他者から見た私」にズレがある事を知る
・他社と対話する
●厚生労働省「様式1-2 キャリア・プランシート」https://jobcard.mhlw.go.jp/
厚生労働省「様式2 職務経歴シート」https://jobcard.mhlw.go.jp/
まずは上記のジョブカードを作成して下さい。
ジョブカードとは厚生労働省によって発行される職業能力を証明するためのものです。
- 価値観、興味、関心事項等(大事にしたい価値観、興味・関心を持っていること)
- 強み等(自分の強み、弱みを克服するために努力していること)
- 将来取り組みたい仕事や働き方等(今後やってみたい仕事(職種)や働き方、仕事で達成したいこと)
- これから取り組むこと等(今後向上・習得すべき職業能力や、その方法)
- その他(自己PRやキャリアコンサルティングで相談したいことを自由記入)
- 職務経歴
言語化することにより、
- 過去何をやってきたのか
- 現在の自分に何が出来るのか
- これから何をしていくのか
を考える切っ掛けになります。
大事なのはジョブカードを書く作業自体では無く、過去を振り返ることにより、現在の立ち位置を知り、未来の自分を想像し、成長のための行動を具体的に考えていくプロセスにあります。
そのプロセス自体を経て転職を不満ベースから前向きなものへと変容させることになるのです。
求職者は、ジョブカード制度総合サイト内にあるジョブカード作成支援ツールやシートを活用し、自分でジョブカードを作成することになります。
個人で作成するものですから、客観的な意見や相談が必要となる場合もあるでしょう。
キャリアコンサルタントやジョブカード作成アドバイザーによって、ジョブカードの作成支援も行われています。
「自分が思っている私」と「他者から見た私」にはズレがある
未来のキャリアプランを考えるプロセスを経て「ラーニング思考」へと変わっていきますが、「自分が思っている私」と、「他者から見た私」にはズレがあり、次は、このズレを補正していく事が大切になります。
「自分が思っている私」、「他者から見た私」とは何なの?
例えば、ある転職者がこのように考えているとします。
これまで一社しか経験が無いが、多くの部門を渡り歩いているから、この経験はどこの会社に行って通用するだろう!
と思っていても、採用側の企業はこう思うかも知れません。
この年齢で一社しか経験が無いのは柔軟性に欠けそうだ。
うちの業界のことを分かってなさそうだな。
これが「他者から見た私」の姿です。
この「自分が思っている私」と「他者から見た私」のズレを認識し、重ね合わせていくことを「セルフアウェアネス行動」といいます。
セルフアウェアネスは、認識するだけではなく、それを高めていくことにより、より満足度の高い前向きな転職をもたらしてくれます。
ではどうやって「他者から見た私」を見つけるのかという事を次の章で説明します。
他者と対話する
ジョブカード作成を経て、自分自身の過去、現在、未来のストーリーが出来たと思いますので、そのストーリーを第三者が見たとして、第三者がどのように感じるかを考えてみて下さい。
要は「他者から見た私」を想像するということです。
社会心理学や教育学で「ナラティブアプローチ」という領域が存在します。
「ナラティブ」とは「語り」、「物語」を意味します。
「ナラティブアプローチ」のなかでは、「確固たる自己」は最初から人の内面にあるわけではなく、それを人が語ったり、他社と対話するなかで構築され、書き換えられていくと考えられています。
これがキャリアカウンセリングの領域でも応用され、まさに「転職相談」によって、「転職動機」そのものが変わっていくというわけです。
先ほど想像した「他者から見た私」を他者に話して下さい。
更に新しい気づきが得られるはずです。
人は自らの転職について他者と対話するなかで、自分だけでは気付かなかった「新たな私」や、自分では想像できなかった「他者から見た私」を発見する事ができます。
この対話相手はキャリアの専門家である「国家資格キャリアコンサルト」が良いでしょう。
自分の仕事観を見つめ直し、周囲からどう見られているのかを新たに学ぶプロセスのなかで、そもそもの転職動機を前向きに変化させていくことができるのです。
まとめ
今回、「現職への不満が原因で始めた転職活動」を「前向きな転職」へ思考を変えていく方法について解説しました。
・自分自身の過去を棚卸する
・「自分が思っている私」と「他者から見た私」にズレがある事を知る
・他社と対話する
不満ベースが切っ掛けで始めた転職活動を「成長のために新しいことにチャレンジしたい」というような前向きな動機に変えることにより、自らの力で転職を成功に導くことが必ず出来ます。
また、国家資格キャリアコンサルタントへ相談頂ければ、今回説明した内容を更に深堀りしケースにあわせ適格なアドバイスを受けることが出来ますので活用ください。
充実したキャリア人生が歩めるよう皆さんの転職活動をこれからも応援します。
以上
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