本日は、以下のような悩みを抱えている方々に向けた記事となっています。
- 顧客の声をアンケートで収集し、新たなメニューを提供したり価格を下げたりと顧客意見を反映させながら営業を続けても、思ったように売上があがらずお悩み中の店舗オーナー
- 市場マーケティング調査の中でVOC(Voice Of Customer)を分析し商品を企画するも、なかなかヒット商品が生まれず、売上拡大に貢献できてないと感じるビジネスマン
多くの経営者は商品を企画する際に先ずは「顧客視点」を優先にと言いますが、顧客の声を反映させれば必ず売れると信じて疑わない思考は危険なのです。
結論を言います。
売上、利益を上げたいのであれば、勿論、「顧客の声」は大事な要素ですが、先ず最初に考えるべきは「自社らしさ」とは何か?という事です。
自社の強みを徹底的にフォーカスしなければ顧客のニーズをキャッチできても競合にすぐに真似をされ差別化できないのです。
セブンイレブン、マグドナルド、ドトール、スターバックス等々のコーヒー事業を通じた経営戦略理論の著書「戦略は1杯のコーヒーから学べ!」を参考に成功する事業戦略の考え方について数回に渡って解説します。
本日は、日本中どこに行っても見かけるのカフェの代表格「ドトール編」です。
なぜ「自社らしさ」を追及すべきなのかが本投稿で分かり易く説明しますので参考にして頂ければ有難いです。
価格競争と思われているドトールの本当の狙いとは
リーズナブルな価格でコーヒーを提供するドトールだが実は入念に練られた
「ブルーオーシャン戦略」だった!
ドトールの考え方は実にシンプルで「コーヒーを市場価格の半額で売っても4倍売れば売り上げは2倍になるよね」という理屈です。
「うん、ごもっとも!」
「でもどうやって4倍売るの???」
通常であればコーヒー価格を下げるために安価な家賃の郊外で開業という発想になりそうですが、これとは全く逆で、ドトールは原宿駅前の一等地に一号店を開いたのです。
これだけで客数は平均的な喫茶店に比べて4倍になったのです。
そして、ドトール開店当時1980年代の喫茶店では店員が客席で注文を取り客席までコーヒーを運び最後に清算するフルサービスが当たり前でした。
これをカウンターで注文を受けて、その場でコーヒーを提供するセルフサービスとしたのです。
これだけでなく、コーヒーの自動抽出機、自動食器洗い器、自動パン焼き器などに設備投資して、少ない店員でも店を回せるようにしました。
客数は4倍になったものの、店員数は変わらずにサービスが提供できる工夫を行ったのです。
価格競争になるとコストカットによりガリガリにやせ細った体で競合と血みどろの戦いを繰り広げるレッドオーシャンを想像します。
ドトールがとった戦略は、競合とは全く異なる価値を提供しライバルのいない「ブルーオーシャン」という新市場です。
優れた戦略にも必ず訪れる衰退の道
ドトールのとった戦略こそ「顧客視点」ではなく「自社の強み」に重きを置いたものだったのです。
そもそも顧客はセルフサービスや自動化などの発想もありませんし、望むわけもありませんよね。
自社の強みを何にするかを追求した結果、このような差別化戦略が完成したという事です。
但し、このように良くできたシステムであっても賞味期限はあります。
安価なドトールコーヒーは、近年ではもっと安価な1杯100円のコンビニコーヒーに大きく客数を奪われたのです。
臨機応変に変化し続けれる企業でなければ生き残れない
皆さん、星乃珈琲店をご存じでしょうか?
コーヒー1杯 600円で昔ながらのフルサービスで、落ち着いた雰囲気の中、ハンドドリップでいれるコーヒーが特徴で、フロートやスフレ、食事も好評ですなんとも居心地の良い店です。
この星乃珈琲店もドトールの親会社(株式会社ドトール・日スレホールディングス)が経営しており、下のグラフではドトールの店舗はこれ以上増やさず、星乃珈琲店に集中し勝負している事が良くわかります。
- ドトール・日スレホールディングス経営店舗数推移
引用元 会社四季報ONLINE
会社四季報オンライン|株式投資・銘柄研究のバイブル
コンビニによる価格攻勢を正面から受けると「レッドオーシャン」へ転落するのは明白であり、低価格路線から高級志向路線へ戦略を見直しているのですね。
時代の流れとともに変化できる企業でなければ生き残れないのが現実なのですね。
まとめ
ドトールのブルーオーシャン戦略は如何でしたか?
「自社の強み」にフォーカスした差別化戦略が如何に有効か感じて頂けたのではないでしょうか。
顧客の声だけを聞いても絶対に生まれないシステムでしたね。
もっとも、どんなに優秀なシステムでもいつかは賞味期限がくるので、時代の背景にあわせて変化し続ける事も大事だという事も補足させてもらいました。
本投稿が売上拡大に悩む皆さんの一助になれば幸いです。
私自身もこのブログを通じて時代の変化を敏感に感じ取る力や情報発信力を磨いて変化し続ける事を意識しています。
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