村上臣氏「転職2.0」から学んだこと|新しいキャリア構築のルール

キャリコン

終身雇用の崩壊、人生100年時代の到来、目まぐるしく変化する産業構造の市場に於いて転職が当たり前の時代になりつつある。

本書「転職2.0」では、このような背景のなか我慢しながら働く時代はもう終わっており、

会社と個人は対等な立場を前提とした働き方に変わりつつあると指摘されています。

これから、望み通りのキャリアを手にするための具体的な方法が示されており

キャリアコンサルタントの立場としても非常に有益な本と感じましたので

本書で学んだことについて紹介させて頂きます。

就職や転職など活動や自身の仕事内容などキャリアに関する事で

大なり小なり悩みを抱えている人は特に参考になると思います。

  • このような悩みを抱えている人
・就活時期で周りのみんなは内定をもらえているのに自分は内定の見通しが立たない
・将来やりたいことがわからない
・仕事に不満はないが上司の人間関係がストレスだ
・転職先の会社がブラック企業だったらどうしようか
・仕事内容は嫌だけど転職しても今以上の給料は貰えないだろうな
  • 記事で学べること
・ポスト終身雇用の時代に於いての転職思考法
・転職は目的ではなく手段であることの理由
・自分の価値を高め発信していくことの重要性
・現状と将来像のギャップを埋めることの理解
・会社のネームバリューで就職をしてはいけない理由
・人脈よりもネットワーク作りを優先させる理由

 

本記事はキャリアに関する悩みを抱えている人の

「我慢する働き方を捨て、

転職ありきで、主体的なキャリアを形成する一歩を踏み出す」

一助になると確信していますので是非ご覧ください

 

 

転職1.0と転職2.0

日本型雇用の代表的な制度として「終身雇用」があります。

会社に家族の一員として養われているようなイメージで

そのため、個人よりも会社の立場が強く

「個人は会社のために尽くすもの」とされてきました。

昨今、労働人口の減少もあって、個人と会社の立場は逆転してきています。

キャリアの意思決定権は組織から個人に移り、

自分自身でキャリアも働き方も選べる時代になっています。

これは「ポスト終身雇用」という言葉で呼ばれています。

この「ポスト終身雇用」の時代で、望み通りのキャリアを手にするために、

キャリアに対する考え方を根本的に入れ替える必要があります。

これを本書では転職のOSを「転職1.0」から「転職2.0」にアップデートすると表現しています。

以下がそれを図解したものです。

転職1.0 転職2.0
目的 1回の転職の成功
(転職=目的)
自己の市場価値最大化
(転職=手段)
行動 情報収集 タグ付けと発信
考え方 スキル思考 ポジション思考
価値基準 会社で仕事を選ぶ シナジーで仕事を選ぶ
人間関係 人脈作り
(狭く深く)
ネットワークづくり
(広くゆるく)

それでは各々のキーコンセプトについて解説していきます。

目的)転職は自分の市場価値を高める「手段」である

転職1.0 転職2.0
目的 1回の転職の成功
(転職=目的)
自己の市場価値最大化
(転職=手段)
行動 情報収集 タグ付けと発信
考え方 スキル思考 ポジション思考
価値基準 会社で仕事を選ぶ シナジーで仕事を選ぶ
人間関係 人脈作り
(狭く深く)
ネットワークづくり
(広くゆるく)

1.仕事は需要と供給の関係で成立する

この関係性より、市場を意識し自分の市場価値の最大化を図ることが

望み通りのキャリアを手に入れるための方法になります。

 

2.転職1.0の時代は転職が「目的」だった

かつては、転職における考え方の最大の関心ごとは

「1回の転職でいい会社に就職できるかどうか」

に特化されており、

要するに「転職」は幸せな人生を送る上での

「目的」となっていました。

 

3.転職2.0では人生100年時代の思考へ

人生100年時代といわれる現代に於いて

労働市場の著しい変化や会社の平均寿命も踏まえると

2回、3回、4回と転職するのが当たり前になってくると予想されます。

ですので、一度の転職を目的にするよりも

転職のたびに成果を出し続け、

キャリアアップをしていくという発想が重要になります。

そう考えると、転職は「目的」ではなく

市場価値を最大化させるための「手段」であるということが

ピンときたと思います。

行動)「タグ付け」で自分の希少価値を高める

転職1.0 転職2.0
目的 1回の転職の成功
(転職=目的)
自己の市場価値最大化
(転職=手段)
行動 情報収集 タグ付けと発信
考え方 スキル思考 ポジション思考
価値基準 会社で仕事を選ぶ シナジーで仕事を選ぶ
人間関係 人脈作り
(狭く深く)
ネットワークづくり
(広くゆるく)

1.転職1.0では情報収集が重視されていた

転職サイトや転職エージェントなどから得られる情報を収集し

また、インターネットで、仕事のやりがい、福利厚生、評価制度などのレビューを参考に

自分にあった仕事を探すことが主流な時代でした。

このような情報収集で決める転職は、

自分にあった会社を探そうという思考に陥りがちであり

自分の市場価値を高める行動にはつながりません。

2.転職2.0では「市場価値を高めるタグ付け」が重要

「タグ」とは「荷札」、「付箋」といった意味の単語です。

「タグ付け」とは、働く人にタグを付けるということで、

個人を想起させるためのフックとなるキーワードをつけるイメージです。

3.タグ付けの方法について

やり方は簡単で「職務経歴書」を書くこと。

「職務経歴書」には大きく以下の5種類の項目について「タグ」を書き出します。

①ポジション → プロジェクトマネジメント、品質管理、マネージャ、事業経営者
②スキル → CADツール使用、データ分析、ISO内部監査員、キャリアコンサルタント
③業種 → 飲食、半導体、キャリア
④経験 → 事故費の減額交渉、経営、マネジメント、新規商品開発
⑤コンピテンシー 問題解決力、傾聴力、バランス感覚

各項目の右側にタグの例も添えてていますので参考にして下さい。

4.タグ付けの考え方

市場価値は、この「タグ」の「掛け合わせ」で考えます。

「タグ」の掛け合わせで希少性を高めます。

市場ニーズにマッチしていたら市場価値は高まります。

例えば、「働き方改革を推進できるリーダーシップをとれる人材のニーズ」

があったとします。

上記の例でみますと

「プロジェクトマネジメント経験」×「キャリアコンサルタント」×「問題解決力」×「傾聴力」

でばっちりニーズと合致します。

さらに市場価値を高めたい場合には、

どんなタグをかけ合わせたらいいのかを考え、

そのタグが得られる仕事に転職をしたり、

現職の中でそのタグが得られる仕事を任せてもらうなどの方法があります。

5.タグは発信してこそ意味をなす

せっかく分解したタグ付けも自分のなかで温めていても意味がありません。

タグは市場に認知してもらう事でキャリア形成に有利に働きます。

発信の目的は自分自身をよく知ってもらうことです。

普段からSNSで情報発信を継続することが重要です。

そのとき、誰に向けてどうゆう情報を発信するのか意識してください。

FacebookやTwitterで自分のタグと関連するニュース記事などに

自分の意見を添えて投稿し続けてください。

優秀な人材が欲しいと本気で思う企業であれば、あなたのSNSを調べるはずです。

その時に面談や履歴書で確認されたでの志望動機などの言動が普段の行動と一致していること

重要なのです。

私の場合はTwitterで特にキャリアに関する記事にコメントを添えてツイートするように心がけています。

 

考え方)目指すポジションから逆算してキャリアを描く

転職1.0 転職2.0
目的 1回の転職の成功
(転職=目的)
自己の市場価値最大化
(転職=手段)
行動 情報収集 タグ付けと発信
考え方 スキル思考 ポジション思考
価値基準 会社で仕事を選ぶ シナジーで仕事を選ぶ
人間関係 人脈作り
(狭く深く)
ネットワークづくり
(広くゆるく)

1.スキル思考が長いと1つの会社から動けなくなる

転職を考える際、やみくもにスキルをつけてキャリアアップを狙う人がいます。

ただ、やみくもにスキルを付けても結局は自分の市場価値はあがらず望み通りの転職が出来ずに

いつまでも今の会社から動けない状態になります。

2.ジョブ型雇用への移行

高度成長期の日本では終身雇用制度が履行されており

スキル思考でも社内で順調にキャリアアップできたのは事実です。

厳しい競争市場に於かれた現在は、日本の終身雇用制度は崩壊しました。

いま、日立製作所など一部の大企業においてジョブ型雇用への移行を行われており

まさにスキル思考からの脱却を象徴する出来事といえます。

3.目指すポジションを明確化しないと生き残れない時代へ

「転職2.0」の時代に「スキル思考」に代わるのが「ポジション思考」です。

目指すポジション、すなわち「役割」を明確にすることです。

ポジションによって求められるスキルは異なるため

外資系企業では過去よりポジション別の採用を行っており

日本でも同様の会社が増えてきています。

求人票やジョブディスクリプションに記載されている職務内容が

一つのポジションということになります。

4.市場価値向上のための方法

目指すべきポジションが明確になれば、あとは、そこに近づくためにどうすれば良いのか考えることです。

現状の自分を振り返り、ポジションステップとのギャップを知り、ギャップを埋めるために

どのような学びが必要なのか考えるのです。

昔のように場当たり的にスキル取得を目指している人は

「努力はいつか報われるはず」などと思い込みがちです。

努力すれば報われる社会であるべきだとは思いますが

「正しい努力をすれば報われる」というのが正解ということです。

 

価値基準)シナジーを基準に仕事を選ぶ

転職1.0 転職2.0
目的 1回の転職の成功
(転職=目的)
自己の市場価値最大化
(転職=手段)
行動 情報収集 タグ付けと発信
考え方 スキル思考 ポジション思考
価値基準 会社で仕事を選ぶ シナジーで仕事を選ぶ
人間関係 人脈作り
(狭く深く)
ネットワークづくり
(広くゆるく)

1.仕事を会社で選ぶ人の末路

「転職1.0」の時代は「会社」を選ぶという発想が主流でした。

仕事の内容よりも会社のブランドを優先する選び方です。

この有名な会社に勤務することがステータスであるという考え方は非常に危険です。

有名な会社ということに価値観を置いている時点で、

自分軸ではなく、他人軸に判断をゆだねているからです。

その会社でうまくいかなかった時、また別の他人軸を探そうとします。

例えば、

「家族に納得してもらえるか」

「友人に馬鹿にされないか」

などの他人軸が判断に入り、やりたくない仕事を我慢しながら続けることになるのです。

2.シナジーが能力をアップさせる

先ほどの「タグ」に話を戻しますと

「タグ」を得るのは、どの会社に在籍していたかではなく

会社で何を達成したのかが最も重要なのです。

会社で成果を出すには、個人と会社の相乗効果によるところが大きく

個人は自分の能力を会社が活かしてくれるのかという視点で会社を選ぶべきなのです。

また会社側は、ハイパフォーマーとして成果を出してくれる人を採用するようになります。

3.シナジーを基準とした会社の選び方

先ずは「カルチャーフィット」を重視しましょう。

会社のカルチャーが自分に合うかどうかは、シナジーを得るためにも非常に大きな要素になります。

今は多くの会社がホームページやSNSを通じて、自社の経営方針やビジョンなどを発信しています。

このような発信情報から自分に合う合わないは、おおよその検討がつくはずです。

5.採用面接でのポイント

それでは、いざ採用面接に進んだ場合についての対応方法です。

事前に調べた会社情報をもとにビジョン、ミッションを確認するようにして下さい。

以下のような質問が良いでしょう。

「(面接官が)今働いている中でビジョンやミッションを体感できていますか?」
「やりがいを感じるのはどんなときですか?」
「社業に貢献するために会社側からの投資などのでバックアップはありますか?」

こういったことを聞き出すことにより、その会社のビジョンなどの社員への浸透度が分かってきますし、会社と従業員がWin-Winの関係性にあるかも推し量ることができます。

 

人間関係)広くゆるいつながりをつくる

転職1.0 転職2.0
目的 1回の転職の成功
(転職=目的)
自己の市場価値最大化
(転職=手段)
行動 情報収集 タグ付けと発信
考え方 スキル思考 ポジション思考
価値基準 会社で仕事を選ぶ シナジーで仕事を選ぶ
間関係 人脈作り
(狭く深く)
ネットワークづくり
(広くゆるく)

1.「人脈」よりも「ネットワーク」を重視すべき理由

転職に限らず、ビジネスで成功するには「人脈」が必要とされてきました。

「人脈」のイメージは、「狭くて深い人間関係」で

同期や同じ学校の先輩後輩などが、これにあたると思います。

これに対し本書の著者が重視しているのが

「ネットワーク」になります。

人脈よりももっと浅く、友達の友達の友達とか

SNS上のみでのやり取りする人などが

「ネットワーク」の代表例と言えます。

個人がキャリアで成功するにあたり、

キーパーソンとつながることができるかどうかが

非常に重要なポイントになります。

「人脈」による狭い人間関係では、どうしてもキーパーソンが存在する確率は低くなります。

一方、「ネットワーク」による広い人間関係ではキーパーソンとつながる確率が高くなります

キーパーソンとつながっていれば、自分の業界以外にも転職する範囲が広がるというわけです。

2.ネットワーク構築により得られる効果の一例

①キャリアを横展開できる

同じ職種で業界またぎが出来る。(例:新聞記者→ウェブメディアへの移籍)

②独立への道も選べる

ネットワーク経由で業務委託を受けているうちに独立してフリーランスになる人も増加。

まとめ

今回は村上臣氏の「転職2.0」の考え方について紹介しました。

 

日本では後ろ向きな理由で転職するケースが圧倒的に多いのが実態です。

私自身、キャリアコンサルタントとして、クライアントの転職理由を前向きに

変容させることも重要なミッションとして活動しています。

 

転職でお悩みの人に

本書に書かれているポスト終身雇用時代における転職思考を実践頂き

自分の進む道筋が見えてくることを願って記事に纏めましたので

参考にしていただければ幸いです。

我慢する働き方を捨て

転職ありきで

主体的なキャリアを作っていきましょう。

以上

 

 

 

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